
ヨーロッパ最大級のmtコミュニティがある ドイツ・ベルリンで出会った mtの新たな表現の可能性。
毎年2月に開催している、バイヤー様及びユーザー様向け新商品展示会「mt STYLE」。
2026年もmtの取り組みをより深く知っていただくためのニュースペーパー「mt STYLE MAGAZINE」を配布しました。
テーマは「Focus! 粘着でできること、再発見しよう」
長年mtを愛用いただいているベルリンのフィリップ・トイフェル教授から届いたテープフェスティバル開催に向けた提案書。
そこに書かれていたのは「mt = more than tape」という言葉でした。
mtが時を経て、海を越えて「くっつく」という用途以上に表現ツールや暮らし道具として誰かのかかせない存在になっていると感じるとても嬉しいメッセージでした。
またベルリン芸術大学のワークショップでは建築を学ぶ学生たちによるmtを使った自由な表現に大変驚かされました。
素材、機能、デザイン……
粘着でできること、mtの可能性はまだまだたくさんあるはずです。
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#01『mt SUPER TAPE FESTIVAL』
2025年春、ドイツ・ベルリンにて「mt SUPER TAPE FESTIVAL」を開催しました。このイベントは「SUPERGRAPHICS」というコンセプトのもと、ベルリン市内全域で展覧会とフェスティバルを同時開催したものです。居山浩二さんによるインスタレーションの展示、ベルリン芸術大学の学生たちによるワークショップ、カモ井加工紙(以下、カモ井)の歴史を展示したコーナー、さらに多数のポップアップショップが出店し、大規模な催しとなりました。

居山浩二さんによる、マスキングテープを使った吊り装飾のインスタレーション。居山さんがアートディレクターを務めた「mt SUPERGRAPHICS」は、第59回日本サインデザイン賞にて金賞を受賞しました。
イベント開催のきっかけとなったのは、デュッセルドルフ応用科学大学のフィリップ・トイフェル教授が15年以上前に日本を旅した際、mtのマスキングテープに出会ったことから始まります。教授にお話をうかがいました。
「私はmtのマスキングテープの半透明な質感と表面の手触りに魅了されました。いくつかを持ち帰り、デザイナーや建築家の友人たちに見せたところ、彼らも私と同じように夢中になりました。その後、ベルリンの文具店『Modulor』がmtを取り扱っていることを知り、継続して使い続けていました」
その後、フィリップ・トイフェル教授からカモ井に「ベルリンでイベントを開催しませんか」というご提案をいただいたことから開催が実現。教授は次のように語ります。
「1960年代から1970年代にかけて、グラフィックデザインを建築に大規模に応用した『SUPERGRAPHICS』というムーブメントが起こりました。今回のイベントでは同じテーマをコンセプトに掲げ、mtが空間認識を変え、建築を豊かにする方法を示す場にしたいと考えました。また、カモ井さんの100年の歴史を祝うと同時に、すばらしいインスタレーションを日本からベルリンへ持ち込む貴重な機会でもありました。
このイベントにおいて、私は尊敬する同僚のガビ・シリッグ教授とともにキュレーションに携わりました。ガビ・シリッグ教授はベルリン芸術大学で空間デザインのクラスを担当しています。ワークショップの一環として、学生たちは明確なコンセプチュアルメッセージを伝える空間インスタレーションを開発しました。なかでも私が最も感銘を受けたのは、mtの素材特性とデジタル製作技術を組み合わせ、独創的に活用した点です。彼らの好奇心と意欲は、建築や芸術の教育においてmtがいかに多用途であるかを証明したと思います。
mtが持つ素材特性はあらゆる可能性を秘めています。より多くのデザイナーや建築家がその可能性を認識するにつれ、mtは、ダイナミックで魅力的な空間体験を生む革新的なツールとしてもますます活用されると確信しています」
ガビ・シリッグ教授も次のようにイベントを振り返ります。
「学生たちはビジュアルコミュニケーション専攻出身なので、グラフィックと空間を表現する素材としてmtを使うのは当然の流れでした。そこで『SUPERGRAPHICS』というテーマを選びました。mtは以前から誰もが知っていましたが、これほど多様な幅、色、柄があることには気づいていませんでした。最も刺激的だったのは、学生たちがmtを平面だけでなく、立体素材、彫刻的素材として扱い、新たなオブジェを生み出した瞬間です。
学生たちは今も教室でmtを使っています。今回は全員で1つのプロジェクトを実現したのですが、次回は、より小さな空間オブジェクトに焦点を当て、各生徒が自身の体験に集中し、素材との取り組みにおける革新性をさらに追求できるようにしたいと考えています。このプロジェクトを実現させてくださったカモ井の皆さまにあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました!」





学生たちのワークショップ作品。「学生たちはマスキングテープの持つ多彩なバリエーションに魅了されていました」とガビ・シリッグ教授。
最後に、「mt SUPER TAPE FESTIVAL」のアートディレクションを務め、大規模なインスタレーションの制作に携わった居山浩二さんにもお話をうかがいました。
「日本を含めたアジア周辺では、mtのデザインにおいて『かわいい』という世界観を求められることが多いのですが、mtの魅力はそれだけではなく、視覚的にも機能的にも『高いデザイン性』が備わっていることが重要な点だと、最初にmtにかかわった10数年前から考えてきました。欧米向けのアプローチもその辺りを意図したものが有効な場合が少なくなく、特にベルリンの会場は一流の建築家とその周辺の方々にのみ貸し出しが許可されるスペースだったこともあり、より高いレベルでmtのデザイン性を訴求しなければ、ということを強く意識して取り組みました。
加えて、カモ井さんの創業から100年に至る歴史紹介の展示も併設する必要があり、『アーティスティックなインスタレーション』と『コンパクトに歴史を紹介する展示』をブレなく、高い完成度で両立させるべく、長時間のプランニングと試作を繰り返しました。結果的に、統一された全体像を作り上げることができたと思います。
また、ベルリン芸術大学の学生たちとのワークショップにも取り組んだのですが、彼らは空間デザインを学んでいることもあり、マスキングテープを単に貼り付けるだけでなく、浮かせたり、布のようにふわりとさせてみたりと、平面的な発想ではないトライアルをしている点に独自性を感じました。長い時間をかけ、最終的に仕上がった展示空間は、刺激のある、新鮮で完成度の高いものになっていました。
イベントの企画および運営にご尽力いただいた皆さま、誠にありがとうございました。今後もさまざまな方法でmtの魅力を世界に届けられるよう、注力していきたいと思います」

フィリップ・トイフェル教授
(Prof. Philipp Teufel)
シュヴェービッシュ・グミュントのHfGグミュント・デザイン大学にてヴィジュアル・コミュニケーションとセノグラフィ(空間演出)を学ぶ。
1985年から1995年までフランクフルトのコンセプトデザイン事務所でパートナーを務めた。その後、デザイン事務所「nowakteufelknyrim」のパートナーとして2007年まで活動。
2008年から2017年にかけては「malsyteufel」スタジオの代表取締役を務めた。
2010年から2015年まで、ベルリン王宮のフンボルト・フォーラムにおけるセノグラフィーの芸術顧問として支援を行う。
フィリップ・トイフェル教授は30年にわたり、デュッセルドルフ応用科学大学で展示デザインおよびリテールデザインの教育と研究に携わり、現在はドイツ連邦財務省・芸術諮問委員会のメンバーを務めている。
2020年からはレネシュタット庭園博物館のアーティスティック・ディレクターを務めているほか、直近ではアイデンティティ財団と共に展覧会「日本の幸福(Japanese Happiness)」を企画し、発表。
現在は、新しい形態のサイエンス・センターのコンセプト構築に取り組んでいる。

ガビ・シリッグ教授
(Prof. Gabi Schillig)
コミュニケーションのための実験的な空間を創作するアーティスト。
ドイツのコーブルクで建築を学び、フランクフルト・アム・マインのシュテーデル美術大学(Städelschule)を卒業。
自身の「Studio for Dialogical Spaces(対話空間のためのスタジオ)」における芸術的実践の中で展開される彼女のクロスメディアな作品は、国際的な文脈や展覧会で公開されている。
これまでに、シュトゥットガルトのアカデミー・シュロス・ソリチュードやニューヨークのヴァン・アレン研究所をはじめ、数多くの奨学金や賞を受賞。
現在はベルリンに拠点を置き、ベルリン芸術大学の教授として教鞭を執る。
2023年からは日本でも定期的に活動しており、空間、身体、物質性、そして「柔らかさのトポロジー(topologies of softness)」の多様な絡み合いについて、芸術的リサーチを続けている。
イベントの詳細はこちら
mt SUPER TAPE FESTIVAL
https://www.masking-tape.jp/event/details/?id=611

