mt masking tape

COLUMN
コラム 2019年4月

若い友人が北海道から東京へ出て働き始めたというので、

用事のついでに彼女の職場へ寄ってみました。

それは秋葉原にある、こんなビル。

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「東京ラジオデパート」!!!

知り合いがいなかったら、全くご縁のなかったビルです。

初めて中へ入りましたが、昭和というか、さらにディープな戦後の闇市的カオス。

こんな場所が、まだ東京にあったなんて・・・。

いやむしろ、ここは残すべき昭和遺産ではないかと・・・

専門知識のない人間には何に使うのか全く分からない、細々とした不思議な部品がどっさりと並んでいました。

電子部品、電子機器のパーツなどを販売する、小さな専門店がひしめいています。

このマニアックなビルで、私の友人は一体何をしているのかというと・・・

こちらです、ジャーン。

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なんと「明和電機」で働いているのでした。

このカオスビルの一角に明和電機のショップがあるのです。うーん、ある意味納得!グッドセンス!

店は3月30日にオープンしたばかりだそうです。

(明和電機とは、様々なナンセンスマシーンを開発し、

世界各地で展示会やライブを行っているユニークなアートユニットです)

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明和電機グッズも色々と販売。

一瞬マスキングテープかな?と思ったのですが、普通のテープでした。

メモや手ぬぐい、ソーイングセットなどまであります。

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こちらは、明和電機を代表する人気商品「おたまトーン」。

音符を立体にしたような形をしていて可愛いです。

長い棒の部分を手で触れることによって、音楽を奏でます。楽器なんです。

ちょっと間が抜けたような不思議な音が出るので、しばらくハマってしまいました。

隣には、電気や機械のしくみを使ったユニークなクリエーターの商品を紹介する「ラジオスーパー」や、

様々な企画展を行う「ラジオギャラリー」も併設されています。

あまりにプロ仕様過ぎて、行ったことのない人には、入るのにちょっと躊躇するビルですが、

他には決してない場所なので、勇気を出して入ると、なかなか面白いと思いますよ!

明和電機のほのぼのした雰囲気に癒されるので、ぜひ覗いてみてください。

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明和電機

https://www.maywadenki.com

岡上淑子さんというアーティストをご存知でしょうか?

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シュルレアリスム全盛の1950年代に活躍した、フォトコラージュアーティスト。

TIME、LIFE、ヴォーグ、ハーパーバザールなど、海外の雑誌から写真を切り抜いてコラージュし、

独特の作風で、詩のような不思議な世界を創り上げました。

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東京都庭園美術館で展示が行われていたので、行ってきました。

1933年竣工の旧浅香邸は、アール・デコ様式の瀟洒な建物で、

この建物の雰囲気と岡上淑子の作品が、あまりにも見事に、しっくりマッチしています。

作品と建物がすでにコラージュ状態!

まさに、ここでやるべき展示でしたね!

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「幻想」と名付けられた作品。( photoスポットがありました)

シャンデリアからは手が伸び、鏡から馬が飛び出し、白馬の顔をした女性らしき生き物が転がっていて、

なんとも言葉では表現しがたい、夢の中のような異次元空間を映し出しています。

これ、たぶんヴォーグなどのインテリアページをベースに、

様々な雑誌のあちこちから、馬やら人やらを部分的に切り抜いてきて組み合わせているんですよね。

絶妙なセンス、圧倒的な世界観。

mtファンにはコラージュ好きの方も多いと思いますが、

ただもう、しばらく夢中で見入ってしまうような、凝視せずにはいられない、惹き込まれる力がすごいです。

毒とユーモアが入り混じる、ミステリアスなポエム的情景に、激しく心を揺さぶられます。

不安、動揺、恐怖、疑惑、希望、安堵、微笑、哀愁・・・

色々な感情がわっと一気に入り乱れ、観ているものを超絶な力で魅了する、衝撃的な作品たち。

4月7日までなので、ご興味ある方はぜひ!

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東京都庭園美術館

https://www.teien-art-museum.ne.jp

プロフィール

江澤 香織
インテリア、雑貨、料理、ライフスタイルなどを中心に、新聞・雑誌・広告・WEB等でフリーライター、コーディネーターとして活動。All Aboutにて雑貨ガイド担当。
http://allabout.co.jp/living/zakka/
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