mt masking tape

COLUMN
コラム 2013年12月

今年も一年こちらのブログをご覧いただき、ありがとうございました。

細々とではありますが、mtや紙もの、文具、アート、デザインなど、

mtを好きでいてくれる方々に興味を持ってくれそうな内容をご紹介できたらと思っております。

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今年最後の記事は、12月10日まで経堂のギャラリーカフェ「芝生」で行われた

「マスキングテープとmtの本」出版記念展です。

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この場所はある意味「mt発祥の地」でもあります。

かつては「ロバロバカフェ」というカフェがこの場所にあり、

そこの店主いのまたせいこさんが、マスキングテープを日常に愛用していたことが、

mt誕生のきっかけとなったのでした。

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ロバロバ時代に何度か行われた「マスキングテープ展」。

当時は今のような商品がなく、

業務用テープをあちこちのホームセンターからかき集めて展示・販売していました。

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ロバロバ時代を知っている人にとっては、懐かしい雰囲気も漂う今回の展示。

様々なアーティストによるmt作品も多数展示されていました。

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芝生になってからも、あまり内装をいじっておらず、

店主の遊佐一弥さんも、そういえばいのまたさんと似た雰囲気の人。

ここは相変わらず、のんびりほのぼのとした空気が流れています。

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そして、今回出版した「マスキングテープの本」は、

前の店主だったいのまたさんが編集・執筆を行い、

今の店主の遊佐さんが、ブックデザインを担当しています。

同じ空間を過ごした店主、新旧のコラボなんです!

すごい巡り合わせ。

遊佐さんに話を聞くと、

本当に好きに自由にデザインしてよかったそうで、

普通の本だったら絶対NGなことを存分にやらせてもらえた、とのこと。

例えば、背表紙には何も書いてありません。真っ白。

通常の流通本だったら、これはありえないことです。

そして綴じ目がぱかっと外れて丸見え。

普通だったら不良品?と疑われてしまうかも。

巻末のテープ見本も印刷ではなく直にテープを貼り付けたもの。

(こちらはmt工場のみなさんが貼って下さっているそうです)。

どこまでも手づくりに近い、心がほくほくするような本です。

(は!またついこの本のことを力説してしまいました。)

この本が出版されて、この場所でまたマスキングテープの展示をしている、

ということが本当に感慨深く、しみじみと空間を味わいました。

「マスキングテープとmtの本」出版記念展は、この後、山口に引っ越した

新しいいのまたさんの店「ろばの本屋」を巡回しました。(なんと今日までですが!)

実はまだ行っていない、ろばの本屋さんにもいつか行かなくちゃ!

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芝生 http://shiba-fu.com

ろばの本屋 http://www.roba-books.com

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表参道スパイラルで開催されていた「TAPE TOKYO」へ行ってみました。

クロアチアとオーストリアを拠点に活動しているインダストリアルデザイングループ、NUMEN / FOR USEの作品です。

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ぎゃああ。会場いっぱいに、大きな宇宙の生命体のような、不思議な物体が・・・

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この物体、なんと全部テープでできています!

どこにでもあるような、普通の梱包用のテープです。

このテープを幾重にも巻き付けて、巨大なオブジェを造り上げています。

会場内では、一週間かけて制作する模様がそのまま観覧できるようになっていたそうです。

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ん?なんか丸く穴がが開いている・・・

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わーい! 中に入れます。

何か未知の生き物の体内に入ってしまったような、不思議な浮遊感。

テープの半透明な透け感や、つるつるの触感、ぐにゃっと揺れる感じなど、

なんとも独特の感覚で面白い体験でした。

今回の展示はもう終わってしまいましたが、

世界各地でインスタレーションを行っているようなので、

またどこかで出会えるかもしれません。

NUMEN / FOR USE

http://www.numen.eu/home/news/

渋谷の道玄坂を上がりきったところにある、ちょっとユニークなカフェ「FabCafe Tokyo」。

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駅から結構離れているのですが、いつも多くの人で賑わっています。

ここのオモシロイところは、店内にレーザーカッターや3Dプリンターがあること。

カフェでお茶を楽しみながら、ものづくり体験ができてしまうのです。

(別名「デジタルものづくりカフェ」!機器の写真がなくてすみません。)

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11月のできごとですが、こちらのファブカフェで

「石垣島カフェウィーク」というイベントが開催されました。

石垣島の素材を使ったスペシャルメニューが提供されたり、

ライブやトークセッションなど様々なイベントも開催。

その中で、アーティストの富岡美紀さんが、

カフェカウンターに石垣島の海をイメージした絵を

ライブペインティングするイベントもありました!

(そのときの様子は、以下リンク先の写真をご覧ください。)

カウンターライブペインティングの様子

この写真で写っているペンですが、

乾くと自由にペリペリッと剥がせるペンなんだそうです。

描いたり、剥がしたりできるペンなんてものもあるんですね〜。

これなら小さなお子様の落書きにも使えそうです。

 

ものづくりが好きな人、アート、デザインが好きな人にはおすすめのカフェです!

クリエイターや様々な業界の人との交流会なども行っているそうなので、

興味のある人はぜひ行ってみて下さい。 

 

FabCafe Tokyo

http://tokyo.fabcafe.com

東日本橋にあるギャラリーヨルカにて、和紙作家、森田千晶さんの展示がありました。

テーマは「城とかがみ」。

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ダークトーンの薄暗い壁のギャラリーに、白い和紙のお城が幻想的に浮かび上がります。

もはやこれは言葉になりません。

しばらく静かにこの世界に浸っていたい気分です。

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以前にも同じギャラリーで森田さんがレースをテーマに展示をしていたことがあり、

そのときに自身の作品を眺めていたら、ふとレースの先端がお城に見えてきたのだとか。

そこでインスピレーションを得て、今回の展示が実現しました。

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お城のモチーフは、

ドイツのノイシュバインシュタイン城や、フランス・ロワール地方のお城など、

たくさんのお城の写真を見て研究したそうです。

現実にあるものをある程度忠実に再現したそうですが、

やっぱりお城には空想的なロマンチックさがあります。

和紙という素材から醸し出される儚さや透明感が、

一層、夢のような、現実離れした世界を造り上げています。

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和紙でこんなにも繊細で可憐な世界が導き出されるとは。

ただただもう、うっとり眺めるより他ありません。

ずいぶん前に森田さんの工房へ伺ったとき、

工房の庭には、自身で育てた和紙の原料であるコウゾ、ミツマタなどがあり、

それらを大きな鍋でグツグツ煮ていました。

華奢な体でにこにこ笑っていた森田さんでしたが、

和紙作りはなかなかハードな力仕事です。

紙を漉くのは一瞬ですが、原料を育てて、刈り取って蒸して、丁寧に手で皮を剥いで、

天日で干して、洗って煮て、繊維を取り除いて・・・と、

漉く一歩手前までの状態にするのがとても大変です。

この繊細な世界を作り出すのにどれだけの労力が必要なのかと考えると気が遠くなります。

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本当にいつまでも見ていたい、感動的な展示でした。

壁に映った影まで素敵でした。

森田千晶さん http://senrowaki.com/chiaki.html

プロフィール

江澤 香織
インテリア、雑貨、料理、ライフスタイルなどを中心に、新聞・雑誌・広告・WEB等でフリーライター、コーディネーターとして活動。All Aboutにて雑貨ガイド担当。
http://allabout.co.jp/living/zakka/
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