
紙から育つ植物
2017年から開催されているデザイン&アートのフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2025」。
時々観に行っていたのですが、今年はかなりエリアも広く、都内各地で開催されていて、通りがかりに偶然見つけたので入ってみました。

渋谷パルコの隣にあるビル、MEDIA DEPARTMENT TOKYOで、ビル丸々一棟を使って様々な展示が行われていました。これだけの規模のイベントを、エントランスフリーでやっているってなかなか太っ腹!デザイナー、アーティスト、建築家、家具職人など、作り手本人が在廊していることも多く、デザイン好き、ものづくり好きには刺さるイベントではないかと思います。
新しい建材、家具、照明、インテリアグッズなど、様々な作品が展示されている中で、ちょっと不思議なものを発見。

これ、紙から草が生えています。紙の形も生き物のような不思議な造形で、植物とのバランスが面白い。

アートオブジェのようですね。植物は生きているから、見え方は日々どんどん変わっていきます。

植物は基本的に食べられるものが選ばれているようです。
パリと東京を拠点に活動するフランスの建築家兼デザイナー、ガラ・エスペルさんの作品。
「Semis ─ 紙から生命へ」というタイトルで、Semisとはフランス語で種や種まきを意味しています。紙の造形物を「植物の種を含んだ有機的な彫刻」と捉え、水を与えることで命が芽生え、植物が成長していくと共に、紙はやがて朽ちて消えていく、という過程を見つめ、ものの永続性に疑問を投げかける作品となっているそうです。
ガラさんは建築家でもあるので、紙の造形物は最近のサステナブルな緑化建築のようでもあり、またはやがて人が住まなくなって忘れ去られ、緑に覆われてしまった空き家建築のようでもあり。紙はもともと植物から出来ているので、ある意味命を全うした姿でもありますね。小さな造形物にいろんなことを考えさせられました。

でも単純に、紙のユニークな造形と、そこに自由に芽を吹き根を張る植物が、とてもピュアで健気で美しく、何か生き生きとした元気をもらえるような気持ちになりました。インテリアとしても魅力的で素敵な作品だと思います。どうやって種を一緒にすき込んでいるのか、種の種類や育て方なども制約があるのかもしれませんが、紙の可能性を感じます。種入りのmt CASA(壁紙)とか、壁の緑化に作ったら面白いかもしれないですね。
DESIGNARTの展示は11月9日で終わってしまいましたが、HPで作品はまだ観れるようなので、ご興味ある方はぜひ。

