
誰かを思って「包む」幸せな時間。廃材を使ったラッピングルームを設置。
#08『mt NEXT 100』
これから先の100年に向けた
廃材を活かし、新たな価値を生むプロジェクト
Peeka-Booyah
十川俊郎さん
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
世界の子ども服や雑貨を扱うお店「Peeka-Booyah(ピーカブーヤ)」では、普段からmtを使ってくださっているだけでなく、mtの廃材でワークショップも実施され、さらに新店舗に設置されたラッピングルームでも廃材を上手に使ってくださっています。
香川県高松市の瀬戸内海を臨むエリアに店舗を構え、自ら海外で買い付けた子ども服などを20年にわたり販売している十川さん。根底にあるのは「子どもたちやそのご家族に、世界のさまざまな価値観やものの見方を伝えたい」という思いです。
「祖母がデンマーク刺繍をやっていたんです。当時は知らなかったのですが、お店を始める際に北欧のものを扱うかどうか躊躇していたタイミングで偶然そのことを知り、背中を押してもらったような気持ちになりました。北欧のものを見たときに心が落ち着く感じがしていたのも、幼少期の景色の一部として心の深い部分に刻まれていたのだと納得しましたね。それと同様に、お店に来る子どもたちにも、長い時間をかけて世界の新しい視点を届けられたらいいなと思っています」
2023年10月には廃材を使ったワークショップを実施された十川さん。カモ井加工紙からはマスキングテープを作る際に発生する両端の部分「ヘタ」と、のり付けする前のワックスペーパーの端材などをご提供しました。
「2024年が辰年だったため『幻獣ワークショップ』と称してみんなで大きな龍のオブジェを作ったんです。当日は子どもたちがテープをちぎったり貼ったりしながら作業を楽しんでくれ、約3メートルの大きな龍が完成しました。最後はご近所の、ワニを祀っている鰐河神社に奉納させていただきました」

廃材で龍を作ったワークショップ。「子どもたちだけでなく大人の方も楽しんでくださったことが嬉しかったです」と十川さん。
店舗でのラッピング用品としてだけではなく日常生活でもmtを愛用してくださっているという十川さん。2024年3月に複合商業施設「麦縄の里」内にオープンした新店舗「あなた」では、mtを使った専用のラッピングルームを設置され、人気を博しています。
「提供してくださったmtのヘタやワックスペーパーの端材のほか、新しいテープも置いています。また、海外へ買い付けに行った際にもらってきたカタログや美術館の館内マップなども素材として再利用しています。
お子さんも楽しんでくれていまして、夢中になるあまり1時間くらい出てこない子もいるんです(笑)。みんなが誰かのことを考えながら手を動かしている空間には、とても贅沢で幸せな空気が流れているように感じますね。
お店を始めて2024年で20年が経ちました。子ども服を扱っていることもあり、オープン時に生まれた子が20歳になったのだと思うと感慨深いものがあります。今の20代の方って、いい意味で執着がなかったり、生き方が軽やかだったり、いいと思ったものをすっと取り入れるような素直さがあって僕自身も学ばせてもらうことが多いです。アップサイクルの取り組みも、環境という枠にとらわれず、より自然でカジュアルな形で発信していけたらと思っています」
ファッションと同じように、包むという行為や空間にもストーリーを見出し、訪れる方の多様な価値観や感性を育む取り組みをされている十川さん。今後も、子どもたちと歩む道の、彩りの一つとしてmtが少しでもお役に立てたら嬉しいです。

新店舗「あなた」のラッピングルーム。「誰かを思って手を動かすこと」が幸せの連鎖につながります。