
縁起物が集まる展示会
渋谷のヒカリエ8階、d47 MUSEUMで行われている「47えんぎもの展 」に行ってきました。

「願い、祈り、信じる。私たちの “心のよりどころ” を47都道府県の縁起物から感じよう。」というコンセプトで、47種類の縁起物が展示されています。縁起物って気分が上がりますね。いくつかご紹介しましょう。
最初に目を引いたのは青森県。

弘前ねぶたに使われるモチーフの一つ、和紙に描かれた牡丹の絵です。ねぶたというと、もっと躍動的で荒々しい、鬼やサムライ系のモチーフをイメージしがちなんですが、こんな可愛らしいデザインもあるんですね。牡丹は津軽藩主の家紋に由来しているそう。台座の部分に描かれ、富と繁栄、平和を願う縁起物だそうです。穢れを払い、豊穣、幸福を願う意味があるとのこと。こちらはねぶた絵師である小野隆昌さんの作品です。
ねぶたは毎年新しく作られ、祭りが終わると基本的には破棄されてしまうのですが、これだけの芸術品を捨ててしまうのは本当に勿体無い。ということで最近はインテリアや雑貨としてリサイクルされることも多くなってきました。縁起のいいインテリアアイテムとしてお部屋に飾っても良さそうです。

ちょっとユーモラスなお面は鳥取県から。張り子のお面です。こちらも和紙製。展示では、主に一番上の「因幡の白兎」が紹介されていました。日本最古の歴史書「古事記」に登場する、大国主命が助けたウサギです。お話の中で、ウサギはお礼に妻となる人の縁結びを行いました。そんなわけで因幡の白兎は、縁結び、福、飛躍、健康などを象徴する縁起物とされています。
ちなみに他のお面は、「麒麟獅子舞」という鳥取の郷土芸能に使われるお面で、赤いのが「猩々」、黄色が「ぬけ」、緑のものは「青の鼻たれ」と呼ばれています。(一番下の左は鬼かな?)。ちょっとへっぽこな鼻たれ役は、この時だけはどんな悪口や罵詈雑言も許されるという役得があるそうです。
このお面を作る「柳屋」という工房をずいぶん前に訪ねたことがあるのですが、年配のご夫婦2人で手作りしておりました。木型に和紙を何度も重ね付けして、さらに染料を塗り重ねてきれいなツルツルにします。裏面には古書を貼りあわせていたので、裏側にも味わいがありました。現在はご夫婦は引退され、新しい作り手が引き継いでいるそうです。

とってもシンプルな熊本県の「来民渋うちわ」。知らなかったですが、うちわも縁起物なんだそう。邪気を払い、福を呼ぶ、魔除けとされていたらしいです。1600年頃に四国から来た僧侶が製法を伝授したことが始まり、といわれています。山鹿市鹿本町の来民(くたみ)という地域は竹林が豊富で、和紙の産地でもあったことから地場産業となりました。
柿渋を塗ることがこの地域独自の特徴で、防虫効果があり、丈夫で長持ちするそうです。伝統製法を受け継ぐ唯一の工房「栗川商店」のうちわです。HPを見ると柄物も色々あるようですが、この潔くシンプルな色と形がなんとも美しいです。

こちらは長野県の水引で装飾されたフラワーベース。水引といえば、ご祝儀袋などに使われる、ザ・縁起物ですね。長野県飯田市は和紙の原料となるコウゾの栽培が昔から盛んで、水引は和紙をよって作られています。現在は日本一の水引生産地なんだそうです。
その水引を新たな形に表現した作品。土台に水引を一本一本埋めるように貼り合わせ、ユニークでカラフルな一輪挿しを作りました。独特の色と質感がありますね。裏側にはガラスの試験管のようなものが付いていて、水を入れて花を飾れます。RITUALというブランドのもの。こちらもHPを見ると、カラフルなオブジェやアクセサリーなどがあり、見ていてワクワクするようなデザインです。
mtも和紙なので、今回は和紙ベースのものを中心にご紹介してみました。日本の工芸品には本当に素晴らしい和紙作品がたくさんあることを改めて実感します。しかも全て縁起物なので、新年の飾りにも良さそうです。作品はショップで販売されていましたので(手作りなので、在庫が少ないものもあるかもですが)ご興味ある方はぜひご覧になってみてください。2026年3月15日(日)まで開催しています。
2025年もそろそろ終わりに近づいてきましたが、どうぞ良いお年をお迎えください。

